今年の5月は、雨が少ない暑い月でした。
詩人の立原道造は、死の数日前に見舞いに訪れた友人に、「5月のそよ風をゼリーにして持ってきてください」と頼んだそうですが、それから80年近くの歳月が過ぎ、5月の気候も少し変わってきたかもしれません。
学生時代の夏休み、彼が夏の定宿にしていた信州追分の「油屋旅館」を訪れたとき、油屋のご主人から、「背が高くて、やさしい人でね、よく肩車をしてもらったものです。」と、思いがけず、道造の話を聞くことができました。
この油屋のご主人もまた、やさしくて、素敵な人でしたが、朝は、かっこうの声で目覚めた「油屋旅館」も、2008年に惜しまれながら閉鎖されました。
そして数年後、多くの文学者が滞在し、執筆活動をした重要な宿を保存して活用しようと、地元有志が協力して「油や信濃追分文化地場」という施設に生まれ変わったそうです。
「青春18きっぷ ポスター紀行」のポスターを見ていると、信濃追分駅に降り立ったときのことが、懐かしく思い出されました。
「青春18きっぷ ポスター紀行」、いよいよ6月3日オープンです。
皆さまのご来館をお待ちしております。 (中)