突然ですが、私は文学館で資料整理に携わっています。
時には、他の部署から応援の手を借りながら、段ボール箱数十箱という資料群を一点一点分類したり、いつ誰が書いたものなのか、これは何と読むのかとさまざまな文献を調べたり。
膨大で雑多な資料を整理していくのは、なかなかに悩ましく骨も折れるのですが、ある作家の、多分野にわたる蔵書や収集資料を整理し、取材メモや創作ノートに目を通していると、一つ一つの作品が生み出された背景に、これだけのものがあったのかと圧倒される思いがします。
そしていつも、こうした資料に接することのできたご縁を、たいへんありがたく思います。
現在開催中の企画展「上橋菜穂子と〈精霊の守り人〉展」も、上橋さんやその作品の背景にあるものに触れられる展覧会です。
私は特に、いつか物語を書いてみたいと思っている子どもたちが訪ねてくれるといいなと思っています。今はまだピンとこないこともたくさんあると思うけれど、何かハッとすることにも出会えるんじゃないかと。
高知城のふもと、森の奥にひっそりと建つ、ちょっと物語めいて見えなくもない石づくりの建物へ、ぜひ。(露)
異界「ナユグ」を疑似体験できるコーナーもありますよ♪