湿気の多い気候になってまいりました。
季節が移り、藤並の森の景色も変わって木々も濃い緑色になっています。
文学館の中も景色が変わった場所があります。常設展の田中貢太郎のコーナーです。
以前は黒岩涙香を展示していましたが、「幕末維新博」の関連で貢太郎へ入れ替えました。
田中貢太郎は田岡嶺雲や大町桂月に学び、自然主義全盛の時代に文壇デビューして、
その後、井伏鱒二や田岡典夫などを育てた作家です。
自身は「実録もの」というジャンルの作家で、昭和初期の『旋風時代』の大ヒットで一躍有名となりました。
今、その名を知っている方は少ないでしょう。
しかしずらっと並んだ本が示しているように、貢太郎はたくさんの単行本を出版していました。売れっ子作家だったのです。
高知の作家の系譜を見ても、とても重要な位置にいる人なのですが、あまり研究もされていないので、
この展示を機会にぜひ貢太郎に興味を持って頂ければ嬉しく思います。
来館されたら、貢太郎のコーナーをのぞいてみて下さいね。(川)