高知県立文学館

KOCHI LITERARY MUSEUM
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文学館ニュース
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寺田寅彦は、子どものころから絵が好きでした。伯父が東京の土産に水彩絵の具を買ってくれた時には、嬉しくて幾晩も枕元に置いていたそうです。
特に熱心だったのは大正7年から12年頃で、胃潰瘍を患い療養していた大正9年に油絵を始めています。
日記を見ると、大正9年から10年頃に熱心に自画像を描いていたようです。自画像は少なくとも9枚描かれ、当館では現存する3点の油絵「自画像A」「自画像B」「自画像C」を所蔵しています。また、「自画像B」の複製画は、著名な寅彦研究者が大切に部屋に飾っていたものです。
大正9年9月に発表された随筆「自画像」には、顔を正確に写すことの困難や、色や輪郭の複雑さへの気づきが書かれています。また、その頃の手帳に、科学者も文学者も絵描きも「観察、発見、表現の仕事」だと記しています。
自画像を描くことは、当たり前と思っているものを見つめ直し、改めて世界と向き合う作業であったのかもしれません。

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