【本の情報】
初出：「中央公論」2015（平成27）年10月号～2017（平成29）年9月号に掲載。
新書版：中央公論新社より2018(平成30)年1月刊行。

【作品について】
酒場詩人・吉田類のエッセイ集です。
酒と俳句を伴侶とする著者が、酒にまつわる挿話や酒場の風情、そこで織り成される人間模様を独自の感性でとらえ、さらりとした筆致で書いています。タイトルは福沢諭吉の『学問のすすめ』の一節をもじったものです。
著者は故郷・高知を、酒好きが多く酔うほどに胸襟を開く土地柄と言い、その言葉通りに北は北海道から南は九州までを旅し、人々との縁を結んでいきます。また「土佐日記」に始まり、植木枝盛、大町桂月、坂東眞砂子、吉井勇、山内容堂、田中貢太郎など、酒好きで個性的な高知の作家たちが随筆に多く登場しています。旅と酒を愛する著者もまた、こうした酒を愛する高知の作家たちの系譜に連なる一人だと言っていいでしょう。
また、あとがきでは当時吉田類紹介コーナーを設けていた当館企画展｢酒と文学展～土佐日記から吉田類まで～｣(2017)に触れています。