唐突ですが、ロシアの諺にこんなのがあります。
キノコだと名乗ったからにはかごに入れ
キノコもびっくりの力強い言葉ですが、「型にはまれ」と言っているのではなく、自分からやると決めたからには最後まで責任をもて、中途半端はやめろ、というニュアンスだそうです。
「キノコ」の部分を「学芸員」に変えて発奮の言葉にしているのですが、当館で開催中の「百花繚乱~高知の女性文学史~」展を見ても、なんだかこの諺が頭をよぎります。
自分は「作家」だ、という矜持を持った明治以降の女性たち。しかし、自分で入ると決めた「文学」という名の「かご」はすんなり入れるものではありませんでした。
展覧会では、その女性文学者たちの苦闘、迷い、熱意、文学的特徴などが簡潔に紹介されています。時代の潮流も辿れるので、ぜひ観覧にお越しください。
余談ですが、ロシアには他にも
「舌の上でははちみつ、でも心の中は氷」(言うことと思っていることが正反対の人)
「目から遠くなると心に近くなる」(離れると一層慕わしく感じる)
「舌がキエフに連れて行く」(分からないことも、聞くことで目的地にたどり着ける)
といった諺があるようです。どれも表現が文学的で素敵ですね。 (福)