常設展の魅力

2023.06.20

ひとことブログ

文学館に勤め始めてから早いもので3か月近くが過ぎました。前職とのギャップに戸惑いながらも、スタッフの皆さんの文学愛に刺激を受けながら、日々楽しく過ごしております。

さて、文学館での業務の一つに、開館前や閉館後の展示室の巡視があります。展示物等に異常がないかの確認をしながら回るのですが、その際に必ず足が止まる一角があります。毎日見慣れているはずなのに、そのケースの前に行くと覗き込んでしばらく見入ってしまいます。

それは、「宮尾文学の世界」室にある、特別装幀愛蔵版「きものがたり」が展示されているケースです。その本の表紙の美しさにまず見惚れてしまい、化粧袋の飾り刺繡の細やかさと色使いにため息が出ます。限定２５０部で出版され、表紙は宮尾登美子さんが愛用したきもの四十五枚を使って京都の表具師によって貼られたものです。化粧袋は、鬼縮緬と紬を合わせた袱紗風仕立てで、飾り刺繍は職人が一つに一日を費やし刺されたものです。

贅沢な装幀でありながら、何かほっとする魅力があります。本館は４冊所有しており、ただいま展示中ですので、ぜひ多くの方に見ていただきたいと思っています。

最後になりましたが、企画展「生誕５０周年記念　ベルサイユのばら展　―ベルばらは永遠に―」は好評のうちに先日終了いたしました。県内はじめ県外からも多くの方に足を運んでいただき、本当にありがとうございました。７月８日からは「アリスの世界展―不思議な冒険の招待状―」が始まります。ぜひ楽しみにしていてください。　　　　　　　（敦）

（お知らせ）

　６月２６日（月）～６月２８日（水）まで、収蔵資料の燻蒸および施設保守作業のため、臨時休館となります。ご了承ください。