来年の今頃、月曜から土曜の朝8時は、多くの高知県民にとって「あんぱん」見ないかん時間、となっているかもしれません。
やなせたかしさんへの注目度もぐんと高まりそうですが、やなせさん関連の収蔵資料のなかで特に印象深いのは、「月刊高知」1巻2号(昭和21年8月/高知新聞社刊)。巻末の「編輯室から」をざっと眺めると、「ヤナセ」の署名。おやっと思って読んでみると、これが熱い。ぐっときた一文を引きます。
郷土の文化活動もやうやく活潑になり、新刊書も續出の状態ですが、本誌はあくまでも大衆文化の先頭にたち卑俗に墮せず、高尚を氣取らず、もつとも快活な紙面を香り高い郷土色で包んでゆきたいと念願してゐます。
戦後まだ一年とあって、紙は上質なものではなく、印刷もかすれ気味。ですが、小さな活字がびっしりと組まれた紙面から伝わる心意気に、背筋が伸びる思いでした。
ちなみに、改めて確認したところ、「ヤナセ」に続く文章には「小松」の署名。「あんぱん」ヒロインのモデルとおぼしき小松記者によると、「月刊高知」創刊号は発売二日で売り切れたとのことです。(露)