小学生のころ、国語の時間に先生が、「前の席から順番に音読するよ」と言って、教科書を読まされたことを、ふと思い出した。声の大きい友達、小さい友達、堂々と読む人、恥ずかしそうに読む人などクラスメイトの音読はさまざまで、普段のおしゃべりするときとはちょっと違うよそ行きの声が今思えば妙に懐かしい。

　なぜそんなはるか昔のことを思い出したかというと、文学館の大切な催し物の一つである「児童生徒文学作品　朗読コンクール」地区予選が今年も開催されているからだ。先日、東部地区審査が行われ、会場で参加者の朗読を聞きながら、「この年齢でしか出せない朗読の良さがあるな」と感じ、自分の小学生の頃を思い出した。正確に読むこと、はもちろん大切だが、小・中学生が今を生きて何を感じ考えているかが、朗読を通して伝わってくると、朗読技術の巧拙を超える感動がある。人前で発表することは勇気のいることだが、目の前の人に伝えようとする姿には心から拍手を送りたい。

地区予選を通過した児童・生徒による県審査は11月10日（日）13：00から、文学館のホールで行われます。RKC高知放送の井手上恵キャスターによる講演会も開催されます。入場無料ですので、ぜひお越しください。（敦）