高知県立文学館

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文学館ニュース
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追悼 市原麟一郎先生~土佐民話よ、永遠に~

企画展追悼 市原麟一郎先生 ~土佐民話よ、永遠に~がはじまりました。

高知県内各地をくまなく回り、小さなお地蔵さま、忘れられかけた祠、消えかけた言い伝えや伝説・世間話を丹念に拾い上げ、記録として残し、さらには、紙芝居として子どもたちへの伝承にも努めてきた、市原麟一郎先生のお仕事を振り返る展覧会です。

市原先生が愛した土佐民話の豊かさ面白さをお伝えしようと、約6mの巨大ジオラマを作り、それぞれの話の地元に旗印をつけ、民話の分布とともに、市原先生のお仕事が一目でわかる展示となりました。

民俗学は門外漢の私にとって、この作業は大変困難な仕事でしたが、あくまで市原先生が採集した話・採集した土地にこだわって、作業を進めました。そして、それぞれのお話のキーワードをマークにしてつけ、その旗をみれば、どこのどんなお話で、どんな内容かわかるようにしました。

立体的なジオラマでみると、平面の地図では気づかなかった、土地の起伏や谷、峠など、その土地だからこそ生まれたお話だということに気づくことができます。

 

市原先生が書き残した民話の土地で、私が一番好きなのは「手箱山」。愛媛県との県境の筒上山に連なる山で、石鎚山脈に属しています。昔の人はこの筒上山と手箱山の間の「手箱峠」を行き来していたそうで、グーグルアースなどで見ると、「どうやってこんなところをのぼるの!?」というような山ですが、旧池川町から手箱峠を越えて、旧本川村越裏門の恋しい人のところに通った山伏の話や、なんと手箱山に登った浦島太郎の伝説などがあります。

竜宮城から戻ってみると、300年の月日がたち、誰も知る人がいなくなったことに呆然とした浦島太郎は、仁淀川沿いを歩き、旧吾川村の大崎の河口から右に折れ、池川へ入ると、安居川をのぼって、大滝から山頂に登りました。この山頂で乙姫様にもらった手箱をあけると、白い煙が立ちのぼり、浦島はすっかり白髪のおじいさんとなって、いずこへともなく姿を消してゆきました。そんなことがあってから、この山を「手箱山」と呼ぶようになったとか。

 

展示室では民話カードをご用意して、気になったお話をその場で読めるようにしてあります。どうぞ気に入った話を覚えて帰って、家族や学校、地域で民話を語り伝えていっていただければ幸いです。(岡)

 

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