高知県立文学館

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イベント
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記念講演会「寺田寅彦とレオナルド・ダヴィンチー形の科学のキーパーソン」

日時
令和4(2022)年10月30日 (日) 14:00~ 15:30
関連企画展
寺田寅彦「茶わんの湯」100年 ふしぎいろいろ展
会場
高知県立文学館 1階ホール
定員
50名
参加費
要当日観覧券
申込
要予約:お電話もしくは文学館受付にてお申込みください

髙木隆司氏(東京農工大学名誉教授)による記念講演会です。
身近な自然現象を追求した先達の活動を紹介し、それらを理解するための簡単なワークショップ(「雪の結晶成長」や「ガウディの尖塔」など)を行います。
(対象:父兄同伴であれば小学生から、単独参加なら中学生からを推奨)


【講演会概要(髙木隆司氏)】
 寺田寅彦と言えば、一般世間では科学随筆の作家として知られている。私は彼を尊敬していて、学ぶことが多かったので、ここでは彼の学問的な活動について述べたい。
 彼は、結晶にX線を当てて反射を計測することにより、結晶のミクロな構造を求める研究を行った。その結果を英国の雑誌「ネイチャー」で発表した。ところが、その3か月前に英国の科学者W・H・ブラッグが同じ内容の論文を発表していて、1915年に彼がノーベル賞をもらった。寺田は船便で論文を送ったために、届くまで約半年かかったので、論文の完成は寺田の方が早かったのにノーベル賞を逃したのである。
 これは、彼にとって非常に悔しかったであろう。外国の学問を追従することをやめ、日本独自の科学構築することを考え始めた。その成果は、彼の弟子たちによって実現した。ここでは、中谷宇吉郎による、実験室内での雪の結晶の生成に焦点を当て、ワークショップとして紙を用いた雪の結晶成長を楽しんでもらうことにする。
 重要な研究結果が評価されないという別の例として、レオナルド・ダヴィンチによる、斜面を転がり落ちる球の加速実験について述べよう。彼は、一定の時間間隔でいくつかの球を転がすと、上下に隣り合う球の間隔が、上から順に10㎝、20㎝、30㎝のように、下側ほど大きくなることを示した。ところが、その内容は彼が手記に書いただけで、どこかで発表することはなく、かなり後にそれを見た人が、球の落下距離は時間に比例すると誤解したのである。後年にガリレオ・ガリレイが時間の2乗に比例することを示し、今でもそれが近代科学の発祥と見なされているが、実はレオナルドがすでに見つけていた。
 最後に、私が数年前に始めた「物語の構造解析」という試みを紹介する。イソップ物語やデカメロンを解析の対象にしている。

 

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